診療内容
アルコール依存症
アルコール依存症とは
アルコール依存症をひとことでいうと、「⼤切にしていた家族、仕事、趣味などよりも飲酒をはるかに優先させる状態」です。
具体的には、飲酒のコントロールができない、離脱症状がみられる、健康問題等の原因が飲酒とわかっていながら断酒ができない、などの症状が認められます。
なお、以前、慢性アルコール中毒、アルコール症、アルコール嗜癖などという⽤語が使われていたこともありますが、これらはアルコール依存症とほぼ同じものと考えてよいでしょう。
代表的な症状
- 以下の症状がでたらアルコール依存症が疑われます
- 1. お酒を飲まないと眠れない
- 2. たまたま飲まなかった⽇にあぶら汗をかく
- 3. いつも⼀⼈で飲むようになった
- 4. 周囲からお酒をやめて欲しいと言われている
- 5. ブラックアウト〜翌⽇⽬覚めると昨夜の記憶が部分的に抜けている
- 以下の症状がでたらアルコール依存症は確定的です
- 1. お酒が切れると⼿がふるえ、飲むとふるえが⽌まる
- 2. お酒が切れると何か(⾍など)が⾒える、何かが聞こえるような気がする
- 3. アルコール性てんかん〜⼤量飲酒している⼈がお酒が切れてけいれん発作を起こすことがある
- 4. 連続飲酒発作〜飲み始めると泥酔し、寝込むまで飲み続け、⽬が覚めるとまた飲む
アルコール依存症かんたんチェック
- 1 あなたは今までに、⾃分の酒量を減らさなければいけないと感じたことがありますか?(Cut down)
- 2 あなたは今までに、周囲の⼈に⾃分の飲酒について批判されて困ったことがありますか?(Annoyed by criticism)
- 3 あなたは今までに、⾃分の飲酒についてよくないと感じたり、罪悪感を持ったことがありますか?(Guilty feeling)
- 4 あなたは今までに、朝酒や迎え酒を飲んだことがありますか?(Eye-opener)
上記4問のうち「2項⽬」以上あてはまれば、アルコール依存症の可能性が⾼いとされています。
患者様の声
40代から肝機能障害・糖尿病により⼊退院を繰り返していました。
こちらで診断を受けるまでまさか⾃分がアルコール依存症だとは思っておらず、家族には家族会に参加してもらい、私はサポートを受けながら治療を開始。
アルコールがやめられないのは、私の意思の問題ではなく「アルコール依存症」という病気のためだということ、
治療を受ければ治療を受けることで、回復に向けた第一歩を踏み出すことができる、という先⽣の⾔葉を胸に、健康な⽣活を⽬指しました。
アルコール依存症の時は、自分のことばかり考えていたと思います。なぜこんなに苦しまなければならないんだろうと。いつもそればかりが頭にありました。
しかし、治療を受けていく中で、苦しいのは自分だけではないということに気づくことができました。そう考えたら、急に気が楽になりました。それからは、酒を見てもあまり動揺しなくなりました。まるで生まれ変わったような出来事です。
患者同士で行うプログラムは、同じ境遇の人と出会えるだけでなく、そのような気づきが治療に繋がるのではないかと強く感じました。
ギャンブル依存症
ギャンブル依存症とは
カジノ法案を巡るニュースなどでギャンブル依存症という⾔葉を⾒聞きする機会が増えてきました。なお、正式な診断名は「病的賭博」と言いいます。
国⺠⼀⼈あたりがギャンブルに費やす⾦額が最も多いのは⽇本⼈という統計があります。また厚⽣労働省研究班(平成29年)の試算によると我が国には320万人のギャンブル依存症の疑いがあるがいると言われており、まさにどこにでもある身近な病気と言えるのです。
代表的な症状
- 以下のような事はありませんか?
- 1. 周囲からギャンブルについて注意されているがやめられない
- 2. 勝てばやり続け、負ければ勝つまでやろうとする
- 3. 周囲に嘘をついてまでギャンブルのためのお⾦を⽤意する
- 4. ここまででやめようと思っていても有り⾦を全部使い果たしてしまう
- 5. いつもギャンブルや、その資⾦作りのことが気になっている
ギャンブル依存症チェック
- (1)興奮を得たいがために、掛け⾦の額を増やし賭博をする欲求。
- (2)賭博をするのを中断したり、または中⽌したりすると落ち着かなくなる。またはいらだつ。
- (3)賭博をするのを制限する、減らす、または中⽌したりするなどの努⼒を繰り返し、成功しなかったことがある。
- (4)しばしば賭博に⼼を奪われている。
(例: 過去の賭博体験を再体験すること、ハンディをつけること、または次の賭けの計画を⽴てること、
賭博をするための⾦銭を得る⽅法を考えること、を絶えず考えている) - (5)苦痛の気分(例: 無気⼒、罪悪感、不安、抑うつ)のときに、賭博をすることが多い。
- (6)賭博で⾦をすった後、別の⽇にそれを取り戻しに帰ってくることが多い(失った⾦を"深追いする")。
- (7)賭博へののめり込みを隠すために、嘘をつく。
- (8)賭博のために重要な⼈間関係、仕事、教育、または職業上の機会を危険にさらし、または失ったことがある。
- (9)賭博によって引き起こされた絶望的な経済状態を免れるために、他⼈に⾦を出してくれるよう頼む。
ギャンブル依存症の程度は……
軽 度: 4〜5 項⽬の基準にあてはまる。
中等度: 6〜7 項⽬の基準にあてはまる。
重 度: 8〜9 項⽬の基準にあてはまる。
*⽶国精神医学会「ギャンブル障害」診断チェック
患者様の声
ギャンブルをしていた頃は、周りの人々を裏切るような嘘をつき、ギャンブル仲間しか周りにいませんでした。
お金も信用も失い、治療を受けることを決意しました。
回復には、1人では限界があることを学びました。仲間やスタッフのサポートが回復に繋がる第一歩だと思います。
薬物依存症
薬物依存症とは
薬物依存の対象となるのは使⽤や所持⾃体が⾮合法なものだけではなく、処⽅薬や薬局などで一般的にどで購⼊できる薬のほか、サプリメント、エナジードリンクなど極めて⾝近なものも含まれることに留意が必要です。
また、薬物依存症には深刻な後遺症や中毒症状が⽣活に⼤きな⽀障をきたす場合も少なくありません。後遺症を含み薬物使⽤に関連して⼼配な症状がありましたら、どうぞご相談ください。ご家族からのご相談にも随時応じております。
代表的な症状
- 以下のような事はありませんか?
- 1. 薬物がないと不安になる
- 2. 嘘をついて睡眠薬や痛み⽌めなどを⼿に⼊れようとすることがある
- 3. やめようと決⼼しても、また薬物に⼿をだすことがある
- 4. つらい事を忘れるために薬物は⽋かせない
- 5. 警察に捕まってもやめられない
薬物依存症チェック
- 薬物を使いたいという強い欲求がある
常⽤者は薬物の効果が切れてくると、使いたいという強烈な欲求がわいてきます。ある期間、あるいは、数カ⽉やめていても、何かのきっかけで、使いたいという強烈な欲求がわいてきます。 - ⾃⼰制御の困難
使いたくない、今回はここでストップしたい、この位の量で終わりたいと思っても、コントロールが効かなくなります。 - 薬物の使⽤をやめたり、量を減らしたりすると、離脱症状が出ることがある
不眠、過眠、抑うつ、不安、焦燥、幻覚、筋⾁や関節の痛み、妄想、けいれん発作、⾷欲亢進、脱⼒、嘔吐、下痢、異常な発汗と⾔った症状が現れます。 - ほとんどの場合、薬物に「耐性」ができ、使⽤量が増える
薬物の作⽤に体が慣れてしまい、快感を得るために必要な量が増えていき、使⽤量がどんどん増えます。 - 薬物中⼼の⽣活
⼀⽇の⼤部分を、薬物の⼊⼿、使⽤、回復のために使うようになります。結果的に、社会的、職業的、娯楽的活動が放棄されるか、軽んじられてしまいます。
*薬物依存症とは薬物の効果が切れてくると、薬物が欲しいという強い欲求(渇望)がわいてきて、その渇望をコントロールできずに薬物を使ってしまう状態を言います。
薬物依存とも言います。古くは薬物中毒と呼ばれてきましたが、それは薬物依存という概念が確⽴されていなかった時代のことで、現在は薬物乱⽤、薬物依存、薬物中毒という3つの概念を分けて考えることが⼤切です。
患者様の声
私が使っていたのは違法薬物ですので、見つかれば逮捕され収監されるという経験をしています。
社会復帰しても悪い仲間は近づいてきて、使いたくなくてもまた使ってしまうということを繰り返していました。
何回目かの社会復帰のあとに、このクリニックに繋がり、「やめるのではなく、やめ続ける」ことの大切さを教えていただきました。
買い物依存症
買い物依存症とは
単に買い物好き、というものではなく不全感や過去のトラウマなど、⼼的苦痛を緩和する効果(セルフメディケーション)を求め、徐々に買い物という⾏為が⽌められなくなる病気です。
特徴としては、使⽤する⽬的ではない買い物の繰り返すことで「現実世界での苦しい気分を変えようとすること」にあります。買い物依存の⼈のお部屋には、未開封の品がたくさんたまってることも珍しくありません。不安、焦燥感、など様々な不快感情に対し、気分を変えるために買い物が⽌められない、いわば買い物へのコントロール障害が⽣じている状態です。このような場合、⾏動上の依存症と⾔えるでしょう。
代表的な症状
- 以下のような事はありませんか?
- 1.店員から商品を勧められるとつい購入してしまう
- 2.部屋の中には買い物した物で溢れていて、未開封のものもある
- 3.買い物をした後は高揚感がある
- 4.自分が買い物にいくら使ったのか把握していない
患者様の声
結婚前からストレスは買い物で発散させることが多かったと思います。
結婚して、子供をもうけ、そして仕事に復帰して…というストレスから買い物が増え、夫には隠していた借金も隠しきれなくなりました。
夫との関係はギクシャクし、あの頃は子供にも悪い影響しかなかったことでしょう。
夫に連れられて外来を受診し治療を始めて、以前のようにストレスを感じることが減った気がします。
家族関係も改善し、今では仕事にも復帰することができました。
摂⾷障害
摂⾷障害とは
摂⾷障害には⼤きく分けて以下の4つの要因があります。
① 家族要因
両親の別居や離婚など両親の不和、あるいは両親との接触の乏しさ、親からの⾼い期待、偏った養育態度。
② ⼼理的要因
否定的な⾃⼰評価あるいは低い⾃尊⼼(⾃⼰評価)。
③ ⽂化的要因
「やせを礼賛し、肥満を蔑視するという」⻄欧化した現代社会の影響。つまりスリムをもてはやす社会、⽂化の影響です。
④ 遺伝的要因
治したいという気持ちを邪魔するものの筆頭に「完ぺき主義」や「全か無か」的考え⽅があります。少しでも失敗すると"全て駄⽬だ"と考えたり、少しでも期待することから外れると全てを否定的にとらえたりする考え⽅です。
やせて飢餓の状態になると、こうした考えが助⻑されるようです。否定的な気分が強くなるからです。治療者と⼀緒にこうした考え⽅の癖に気づいていくことはこの病気を治す⼿助けとなります。
代表的な症状
- 以下のような事はありませんか?
- 1.絶食したり、食事の量やカロリーを過度に制限をしたりする
- 2.自分でコントロールできないほど大量に食べてしまう
- 3.食べたものを自分で嘔吐してしまう
- 4.体重や体形へ過度なこだわりがある
- 5.月経不順や脱毛など身体症状がある
うつ病
うつ病とは
眠れない、⾷欲がない、⼀⽇中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといったことが続いている場合、うつ病の可能性があります。
うつ病は、精神的ストレスや⾝体的ストレスが重なるなど、様々な理由から脳の機能障害が起きている状態です。
脳がうまく働いてくれないので、ものの⾒⽅が否定的になり、⾃分がダメな⼈間だと感じてしまいます。
そのため普段なら乗り越えられるストレスも、よりつらく感じられるという悪循環が起きてきます。
うつ状態を引き起こす原因がはっきりしているときは、その原因を取り除くことが検討されます。
たとえば体の病気が原因である場合はその治療を⾏い、薬の影響が考えられる場合は可能であれば薬を中止する、または別の薬へ変更することが検討されます。
性格的にストレスなどの影響を受けやすい⼈は精神療法的なアプローチが効果的です。こうしたうつ病でも、うつ状態が重症であれば抗うつ薬による治療も並行して⾏われます。(参考:国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト」)
うつ症状が各種依存症やその他のこころの病気と関係していることもあります。
お⼀⼈で悩まずお気軽にご相談ください。当院ではご家族様からのご相談にも応じております。
代表的な症状
ゆううつな気分になったり、落ち込んだりすることは、⽇常⽣活の中で誰しも経験することです。
でも、そんな状態が2週間以上続くときには、うつ病の可能性を考えてみる必要があります。
- ⼼の不調
ゆううつな気分 / ほとんど全てのことに興味が持てない / 思考⼒や集中⼒がない / 死にたくなる など - 体の不調
⾷欲がない / 疲れやすい / ⾸や肩のコリが強い など
睡眠障害
睡眠障害とは
健康のために睡眠はたいへん重要です。睡眠は、⼼⾝の疲労回復をもたらすとともに、記憶を定着させる、免疫機能を強化するといった役割も持っています。
健やかな睡眠を保つことは、活⼒ある⽇常⽣活に繋がります。
睡眠障害というと不眠症を考えがちですが、不眠症以外にも様々な病気があり、多くの⼈々が睡眠の問題を抱えていることがわかってきました。夜の睡眠が障害されると、眠気やだるさ、集中⼒低下など⽇中にも症状が出現します。
睡眠の問題と⽇中の眠気の問題は、表と裏の関係にあるといってもいいでしょう。このような睡眠の問題や⽇中の眠気の問題が1カ⽉以上続くときは、何らかの睡眠障害にを抱えている可能性が考えられます。睡眠障害は、その原因によって治療法も異なります。適切な治療を受けるためにも、⾃分の睡眠状態や睡眠の問題を把握しておくことは重要です。
睡眠の質の変化が、様々なこころの病気と関係していることもあります。早期発⾒、早期治療が⼤切です。お⼀⼈で悩まずお気軽にご相談ください。当院ではご家族様からのご相談にも応じております。
代表的な症状
不眠の症状は様々です。
たまに眠れないことは誰しもが経験することです。でも、不眠傾向が続くときには、不眠の原因となるようなことが隠
れていないか、チェックする必要があります。
- 寝つきが悪い
- 眠りが浅くて途中で起きてしまう
- 朝早く⽬覚めてしまう
など、いくつかのタイプがあります。
発達障害
発達障害とは
発達障害は、⽣まれつき脳の発達が通常と違っているために、幼児のうちから症状が現れ、通常の育児ではうまくいかないことがあります。
成⻑するにつれ、⾃分⾃⾝の不得⼿な部分に気づき、⽣きにくさを感じることがあるかもしれません。ですが、発達障害はその特性を本⼈や家族・周囲の⼈がよく理解し、その⼈にあったやり⽅で⽇常的な暮らしや学校・職場での過ごし⽅を⼯夫することができれば、本来持っている力がしっかり⽣かされるようになります。
また発達障害はネット依存との親和性も⾼いことや、当事者の⽅の個性を⽣かせない環境の場合、同居するご家族が疲弊してしまうこともあります。当院ではご家族様からのご相談にも応じておりますので、お気軽にお問い合わせください。
統合失調症
統合失調症とは
統合失調症は、こころや考えがまとまりづらくなってしまう病気です。そのため気分や⾏動、⼈間関係などに影響が出てきます。統合失調症には、健康なときにはなかった状態が表れる陽性症状と、健康なときにあったものが失われる陰性症状があります。
陽性症状の典型は、幻覚と妄想です。幻覚の中でも、周りの⼈には聞こえない声が聞こえる幻聴が多くみられます。
陰性症状は、意欲の低下、感情表現が少なくなるなどがあります。
周囲から⾒ると、独り⾔を⾔っている、実際はないのに悪⼝を⾔われたなどの被害を訴える、話がまとまらず⽀離滅裂になる、⼈と関わらず⼀⼈でいることが多いなどのサインとして表れます。早く治療を始めるほど回復も早いと言われていますので、周囲が様⼦に気づいたときは早めに専⾨機関に相談してみましょう。
早期発見早期治療が⼤切です。何か⼼配な症状やご不安な点がある場合には、お⼀⼈で悩まずお気軽にご相談ください。空きスペースを詰めるまた当院ではご家族様からのご相談にも応じております。
代表的な症状
- 以下のような事はありませんか?
- 1.周囲の世界がなんとなく変わった・不気味な感じがする
- 2.聞こえないはずの声や音が聞こえる(話しかけられたり、命令や指示をする声が聞こえたりする)
- 3.電波やテレパシーを送られている気がする
- 4.自分のプライバシーや考えが、外部へ知れ渡っている感じがする